鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー安延 久美

  • 農学部生命環境農学科
  • 国際乾燥地農学コース

教授

安延 久美

Kumi Yasunobu

充実した独自の実習プログラムで
学生とともに東南アジアの農業を調査する。

女性研究者のパイオニアとして活躍。

2014年、鳥取大学農学部で初めてとなる女性教授が誕生した。農学部に現在100名ほどいる専任教員の中で、農業経営学を専門に活躍する安延久美 教授だ。とりわけ高く評価されているのは、実践的な実習プログラムを構築した実績だ。学生が東南アジアの開発途上地域に約1ヵ月滞在して実習を行うもので、2014年度はタイとカンボジアでの実施が予定されている。

この実習プログラムの特徴は単なる視察旅行ではなく、農村でのファームステイ、農作業の手伝い、現地の大学や研究機関での講義や実験など、多種多様なメニューが盛り込まれていることだ。毎回10名以上の学生が参加するが、一人の教授がこれほどの人数を引率する海外実習は、他大学での例は多くない。各国での人脈が幅広いことはもちろん、国の情勢や国民性によって異なる交渉のノウハウ、社会慣習や治安情報などを熟知していなければ不可能なことだ。

こうした他大学では真似のできない実習の実現には、教授のキャリアが深く関わっている。幼い頃は父親が果樹の研究者だったことから、園芸試験場を遊び場に育った。農学部を目指すようになったのは高校のとき。大学院を修了後は開発途上国との共同研究を仕事とする、農林水産省熱帯農業研究センター(現:独立行政法人国際農林水産業研究センター)に入省。研究官として東南アジアの農業経営を発展させるプロジェクトに参加し、マレーシアに4年、フィリピンに2年ほど住んだ。仕事にはやり甲斐を感じていたが、もっと東南アジアの農業経営を深く研究したいという気持ちが高まって鳥取大学に赴任。こうして、国家公務員として働いていた時代に築いた人脈や情報網が、学生のための実習プログラムに役立てられた。

世界で活躍できる農業研究者を育成する。

「今の時代は情報を正しく選んで組み合わせ、それを自分の考えとして発言できることが大切だと思います。特に農業開発は基礎的な知識ではなく応用が求められるので、考え方に多様性を持ちなさいと学生たちには言っています。実際に開発途上国の農村で農業を体験すると、学生たちの考え方が広がって、彼らがぐっと育つのが分かります。その成長を見られるのは、とても幸せなことです」。

こう語る教授のもとには、タイ、ラオス、ジンバブエ、中国などから留学生が集まり、研究室はまさにインターナショナル。「社会に出てからも役立つように」と、ゼミでは英語によるグループディスカッションも取り入れる。国際的なコミュニケーション能力を磨いてほしいと考え、卒業時のTOEICスコアは700点以上が目標だ。さらに世界を舞台に活躍できるよう、タイ、ラオス、カンボジア、日本の学生が一緒に農業を調査研究できる研修プログラムづくりにも取り組んでいる。

「将来は、カンボジアの農業について書いた本を出したいと思っています。自然にやさしい循環型農業のモデルケースを提言したいです」。

鳥取大学農学部では男女を問うことなく、優れた研究者を支援している。教授に続いて、これからさらに多くの人材が世界で活躍することだろう。それは、もしかしたら君なのかもしれない。

[取材:2015年2月]

神奈川県生まれ。

博士(農学)。神奈川県立平塚江南高等学校卒。1987年、北海道大学大学院農学研究科修了。農林水産省熱帯農業研究センター、農業技術研究機構中央農業総合研究センター、国際農林水産業研究センターの主任研究官・プロジェクトリーダーを経て、07年に鳥取大学に赴任。14年より現職。

日本農業経営学会、日本農業経済学会、日本国際地域開発学会などに所属。

毎朝、精神統一をかねてペン習字を練習するのが日課。

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