鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー富岡 幸子

  • 農学部共同獣医学科

准教授

富岡 幸子

Yukiko Tomioka

遺伝子改変マウスを用い
感染症やがんなどの病気克服の鍵を探る。

マウスをモデルに人や家畜の病気を考察。

細胞のDNAに目的とする性質を持つ外来遺伝子を組み込んだり、特定のタンパク質をコードする遺伝子を欠損させたりすると、新しい性質を持つ動物が誕生する。そうした技術でつくられるのが、遺伝子改変マウスだ。富岡幸子 准教授は、遺伝子改変技術を用いてつくられた、ウイルス感染しにくいマウスや、腫瘍が増殖・悪性化しにくいマウスなどを解析したり、ウイルスが感染した際に増殖の過程で生じるウイルスタンパク質のみを体内に発現させて、マウスの体にどのような影響を与えるのかを観察したりと、幅広いテーマで研究に取り組む。

例えば、ウイルス感染は、動物の細胞膜上にあるレセプター(受容体)にウイルスが結合することから始まるが、逆に言えば、このレセプターがなければウイルス感染は起こらないことになる。ブタやその他の家畜に感染すると重篤な症状を引き起こすブタヘルペスウイルス1。実際に、そのブタヘルペスウイルス1のレセプターを変異させたマウスは、感染に抵抗性であることが確認されている。こうしたさまざまな特性を有するマウスをモデルにした研究が、将来、ウイルスに感染しにくい家畜や、人やペットのがん予防法の開発、ウイルスの関与が疑われるが原因がはっきりしていない身体症状の発生メカニズムの解明などにつながるかもしれないという。

ミクロの世界に魅せられる。

幼い頃から動物が好きで、小学生の時には「獣医になりたい」と進む道を決め、獣医学部に入学。当初は臨床の獣医師を志していたが、病理学の研究室に入り、細胞の様子を顕微鏡で観察し「どういう病気なのか」「健康な細胞と病気になった細胞はどう違うのか」などを見ていくうちに、どんどんと“ミクロの世界”に引き込まれていく。顕微鏡でしかのぞけない、とても小さな細胞たちの様子は「とてもきれい」で、「見ていて飽きない」と語る。

学生には、「好奇心のアンテナを張って、主体的に、自分の手を動かして、実際に目で見る」大切さを伝える。そうすることで「楽しく取り組みながら理解して深く考えられるようになってほしいと思っています」。学生たちが実験から得た結果を一緒に見て「これはおもしろい!」と共に学びを楽しんでいる。

[取材:2022年10月]

1975年、北海道生まれ。

博士(獣医学)。北海道大学獣医学部獣医学科卒業、同大学大学院獣医学研究科博士課程を中退し、同大学遺伝子病制御研究所に入る。2014年に鳥取大学農学部附属鳥由来人獣共通感染症疫学研究センター特命助教を経て、15年から現職。

高校時代は長崎で過ごし、生物部に所属。離島での昆虫採集合宿で汗を流す。自然の中を散策するのが好きで、家族と大型犬2頭と一緒に散歩するのが日課。

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