鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー伊藤 啓史

  • 農学部共同獣医学科

准教授

伊藤 啓史

Hiroshi Ito

「動物のお医者さん」の域を超え
ウイルスの脅威から
地球上すべての生き物を守る。

世界トップレベルの鳥インフル研究室。

ウイルスの脅威がどれほどのものか、今や知らない人はいないだろう。ウイルスはそれ自体のみで生きることはできず、感染する相手がいて初めて増殖することができる。感染する相手は人に限らず、鳥や豚などの動物も対象となる。ウイルスにとって、動物の種類の違いは何の障壁にもならないのだ。

人にも動物にも感染する「人獣共通感染症」の代表的なものの一つに、高病原性鳥インフルエンザが挙げられる。1996年ごろに地球上で初めてH5N1亜型の高病原性鳥インフルエンザウイルスが中国南部で発見され、瞬く間に世界へ広がっていった。鳥取大学農学部共同獣医学科は、国内でもいち早く、渡り鳥がウイルスを運んでくるという説を唱え、ウイルスの分離や解析でも優れた実績を上げて、鳥インフルエンザ研究で世界のトップを走る。その最先端の研究室で、人獣共通感染症がどの動物から別のどの動物へと感染したのかを調査したり、同じウイルスでも現れる症状が重いものと軽いものがある場合の両者の違いを遺伝子レベルで検討したり、感染予防の機能を備えさせた素材の効果を検証したりしているのが、伊藤啓史 准教授だ。

獣医学的な幅広い視野でウイルスと闘う。

准教授が獣医を志したのは中学生の頃。3歳上の兄が将来について「獣医にでもなるか」と話しているのを耳にし、動物好きだった伊藤少年は「そういう職業があるんだ。自分もなりたい」と心に決めた。結局、兄は獣医にはならなかったが、伊藤少年は意思を変えずに獣医学科へ進学。大学で勉強する中で、臨床ではなく研究者の道を選んだが「あの時、『獣医になりたい』と思わなければ今の自分はない。途中で目標が変わってもいい。若い時から将来の目標を持つことをお勧めします」と、現代の若者に訴える。

鳥インフルエンザが発見されてから20年以上が経過しているにもかかわらず、その子孫ウイルスは現在も世界各地で流行し続けている。その感染源の解明や感染拡大の防止は、人類の未来を左右する最重要課題といえよう。鳥インフルエンザの流行を察知し、人に感染する新型インフルエンザへの変異を水際で阻止しようと、研究室が一丸となって獣医学的な幅広い視野に立った研究に励んでいる。

[取材:2020年10月]

1967年、滋賀県生まれ。

博士(獣医学)。滋賀県立安曇川高等学校卒。岐阜大学農学部獣医学科卒後、同大学大学院連合獣医学研究科博士課程修了。米国セントジュード小児研究病院ウイルス分子生物学部門、米国ウイスコンシン大学獣医学部病態生物学部門で博士研究員として、人・動物に関わらずさまざまなウイルスの研究に従事。2000年に鳥取大学へ。

趣味はスポーツ観戦。休日は、子どもと釣りをしてリフレッシュしている。

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