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トリダイ プロフェッサー寸田 祐嗣

  • 農学部共同獣医学科

准教授

寸田 祐嗣

Yuji Sunden

すそ野の広い獣医病理学。
得られる知見は、
生命現象の理解につながっていく。

摘出標本から診断する、変化をみる。

獣医学のなかでも専門は「獣医病理学」。とりわけ寸田祐嗣 准教授が取り組む研究は診断病理と感染病理学だ。向き合う動物は犬や猫などの伴侶動物だけでなく多種の野生動物も含まれていて、研究のすそ野は広大になる。

亡くなった動物から病理解剖のための標本を摘出して細胞の変化などさまざまな観点から詳しく調べていく。「病気の診断をするわけですが、罹患(りかん)した病気の特徴、受けていた治療の効果などを検証して、次の治療方法の参考になるような情報を提供していきます」。診断病理学は、その連続だ。

もう一つの感染病理学は、細菌やウイルスなど体内に外部から入ってくる“異物”(病原体)に対して、動物の体がどのように反応し疾患を引き起こすのかをたどっていく。「これはマウスやラットでの実験で状況経過を見ながら調べていきます。そこから得られる知見は実に多いのです。病原体を知ることにより、広い意味で生命現象の理解にもつながります」と准教授は言う。

人獣共通の視野から病理を読んでいく。

高校生のとき、“異物”の一種である環境ホルモンなどの毒性物質が野生動物や人にどのような影響を及ぼしているのかに興味をもち、その基礎研究を考えたとき、すぐにイメージしたのが獣医学だった。

研究の中で、じっくりと付き合ってきているのは、感染症でいえば狂犬病やインフルエンザ。また自然発生疾患では悪性腫瘍(がん)にも注目している。ただ、ここで大事なのは、動物に起こっている疾患現象は人(ヒト)にも通じているという見方だ。

「今後、獣医学は人の医学との比較医学のなかで、もっと協働してできることがたくさん出てくると思います。病態を、標本一枚から読み取って観ていっても学ぶことがたくさんあります」。

たとえば、人獣共通感染症の一つを挙げても未知なる世界がたくさんある。「動物に多くの恩恵をいただいています。獣医師にしても医師にしても“医師”として、謙虚さと向上心を常にもっておくことが研究への大きなモチベーションにつながっています。人の言語では伝わり合えない動物を相手にして分からないことはたくさんありますが、通じ合うこともたくさんあります」。しつこく、終わりのない世界を見続けている。

[取材:2017年9月]

1978年、京都府生まれ。

博士(獣医学)。京都府洛南高等学校卒業。北海道大学獣医学部卒。同大大学院獣医学研究科修了後、研究員、助教を経て2013年より鳥取大学農学部共同獣医学科准教授。

動物の病気の診断、病気が起こるメカニズム、治療法などの研究しており、特にウイルス感染症に興味を持っている。配偶者も獣医師として働いており、長女(小学生)と愛犬とともに鳥取での暮らしを満喫中。

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