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トリダイ プロフェッサー山中 典和

  • 乾燥地研究センター

教授

山中 典和

Norikazu Yamanaka

東アジアの乾燥地に適した
持続可能性のある緑化法で
地球の未来を紡ぎたい。

乾いた大地を生き抜く樹種と技術を追究。

砂漠化してしまった土地に、現地の気候や自然条件に適した樹木・植物を植えて生態系を修復し、再び緑の大地となるよう導いていく。その技術・方法の模索が山中典和 教授の研究テーマだ。中国・黄土高原や内蒙古のクブチ砂漠、モンゴルなど、主に東アジアの乾燥地をフィールドに、様々な角度から問題にアプローチしている。

実は、もともとは日本の森林の構造・動態等の研究を行っていた。自然いっぱいの田舎で育ち、山野を走り回ってカブトムシやチョウを追いかけるような少年時代だったから、学問の興味が農学、林学系へと向いていったのは自然な流れであった。そんな山中教授が乾燥地研究と出会ったのは、鳥取大学乾燥地研究センターへ移った指導教官からの誘いだったという。「面白そうだし、人と違うことができる」。これまでとは異なる世界に好奇心がくすぐられた。

教授が進める研究のキーワードは、「持続可能性」と「郷土樹種」。樹木や多年生植物は、農作物より寿命が長いが、水や肥料をたびたび与えることはできない。「植樹直後はよかったけど10年20年たったら枯れてしまった、では意味がない。降雨量が少なく寒暖差が厳しい土地でも長く生き抜くことができるかどうかを考えたとき、その確率が一番高いのが、現地の自然条件に適応している郷土樹種なのです」。この研究成果を基に現地では、緑化に向けた新たな提案がなされつつあるという。

原動力は「好奇心×現場の課題解決」。

夏は猛烈に暑く冬は氷点下まで下がる激しい気温差、時には砂嵐が襲うこともある東アジア乾燥地での研究は、そう容易なものではない。「でも、研究者の好奇心と問題解決が一体化したときの面白さはたまらない」と苦労を笑い飛ばす。モンゴルでは、乾燥地の現状と植生を把握するため約5年の歳月をかけて約400種の植物をコツコツと調査、現地の研究者とともに写真入りの植物図鑑上下巻を完成させた。「初めて訪れる場所での研究は、こうした地道な調査から始まるのが普通」とこれまた事もなげに語る。さすがの研究者魂だ。

2016年にセンター長に就任して以降は会議やデスクワークが増え、なかなか現地に行けないという。「ずっと日本にいたらテンションが下がっちゃう」。現場が好きでたまらないといった顔で、少年のように笑った。

[取材:2016年12月]

1958年、和歌山県生まれ。

農学博士。和歌山県立田辺高等学校卒、京都大学農学部林学科卒。88年、同大大学院農学研究科博士後期課程林学専攻単位取得後退学。89年、京都大学助手。94年、鳥取大学乾燥地研究センターへ。

森林生態学を基礎に、乾燥地の緑化・生態系修復に関する研究を始める。2016年、同センター長に就任。

中国、モンゴル等の乾燥地へ足を運び、黄砂の発生源対策、緑の再生に尽力している。

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