トリダイ プロフェッサー長尾 博暢
- 教育支援・国際交流推進機構
- キャリアセンター
准教授
長尾 博暢
Hironobu Nagao
社会への旅立ちを目前に
過ごす大学生活は、
大きな意義を持っている。
インターンシップの基盤づくりに奮闘。
長尾博暢 准教授は、“インターンシップ後進県”だった鳥取県を大きく前進させた立役者の一人だ。本学キャリアセンターに着任した当時、県内にはインターンシップをコーディネートする機関などはなく、行政の委託事業が細々と動いていたものの積極的な展開が何もない状態。しかし、大学が文部科学省の補助事業に採択されたのを機に県内高等教育機関・産業界・行政と連携し、1年生から参加できる「地域協働型インターンシップ」制度を整備。国からの補助終了後も、「鳥取県インターンシップ推進協議会」を2015年に発足させるなど、一貫して“オール鳥取県”の体制づくりに奔走した。現在約100社が受入企業に登録しており、参加学生数も年々アップしているという。
学生時代から若者の雇用問題に対する政策対応について研究していた。その後身を置いた京都経営者協会では、インターンシップを希望する学生と企業とをつなぎながら双方の視点から在り方やシステムについて考察する機会を得た。「いってみれば、私にとっての“長期インターンシップ”でした。ストレートに大学教員になっていたら今の道にたどり着いていなかったでしょう」と当時を振り返る。自身も実感したインターンシップが持つ大きな意義を生かしたいと、次なる構想を練っている。
「大学卒業後の姿」を描き、日々を大切に。
1年生対象の「キャリア入門」の授業を担当、毎年多くの新入生を迎え入れている。その中で一貫して伝え続けているのは、「今まさにこの瞬間の学生生活を充実させることが、今後のキャリア形成において最も確かなリソース(resource)になる」ということ。「“社会人の自分”は“大学生の自分”とは全く関係ないところにあると思っている学生が多い。しかし社会が彼らに期待しているのは、大学時代の様々な学びや経験なんです」。その意味や重みを理解してほしいと、あらゆる手法で“気付き”を与えている。
そんな准教授のもとに時折、アドバイスを求めてやって来る学生がいるのだという。「熱血でもないし面倒見もよくないのに、なぜですかね」と不思議がるが、桃李成蹊(とうりせいけい)、キャリア教育やインターンシップ推進に真摯に取り組む姿勢や穏やかな雰囲気に頼りがいを感じ、自然に足が向くのであろう。
[取材:2016年12月]
1973年、京都府生まれ。
修士(経済学)。滋賀県立膳所高等学校卒、京都大学経済学部卒。2000年、同大大学院経済学研究科修士課程修了。博士後期課程進学後は、京都経営者協会でインターンシップ事業のコーディネーターと二足のわらじを履き、06年、統括マネージャーに。約50の大学がひしめく学生の街で、企業と学生をつなぐ役割を担った。07年、追手門学院大学経済学部講師。10年より鳥取大学キャリアセンター准教授。