鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー北 実

  • 研究推進機構
  • 研究基盤センター

助教

北 実

Makoto Kita

大学の教育・研究に
欠かせない、
放射線利用のことについて。

放射線の運用を管理すること。

「放射線」というと、どんなイメージをもつだろう。東日本大震災での原子力発電所事故以後、ネガティブに捉えられる面もあるが、一方では自然界に既存し、病院での検査・治療など私たちの身近に利用されていることの認識も必要だ。「正しい知識と科学的な考えをもって有効に利用されている部分は受け入れてほしい」と北実 助教は話す。

放射線を利用している施設や機関はいろいろあって、大学もその一つだ。というのも遺伝子資源の解析や化学反応の実証実験など、今や教育・研究でも放射線利用は重要な役割を担っている。鳥取大学にはこのような施設として生命機能研究支援センターを備えており、助教はここでの放射線安全管理担当者として2002年から勤務している。

このセンターは学内共同施設のため、全学部で実験室等が利用できるものの「放射線を扱う上では厳しい管理・運用基準があり、機器やその他の手順についての管理と支援を行っています」。とくに放射性物質による被曝や施設から周辺に出される廃水・排気については測定器を使って常にモニタリングしている。

キノコとの再会。畑違いの今の仕事について。

学生時は、酵素によるセルロースの分解機能を学び、菌類などの微生物の働きに関心を寄せた。その後、大学院へ進み、タンパク質や遺伝子に関して研究。私たちが食べる納豆にある「納豆菌」の仲間「枯草菌」によるビタミンB群の一つの生成過程を調べたことがある。研究とは別に、お寺の住職から「跡を継がないか」とのお誘いを受け、とことん進路に悩んだことも。紆余曲折。でも今は放射線を扱う仕事。

「学生時にやっていたことや思っていたこととは全く畑違いのような仕事をしていますかね?」と照れ笑い。

助教は、東日本大震災による原発の事故後、キノコの一つ「原木しいたけ」が取り込む放射性物質の動きを生長過程から経歴調査・分析をしている。「妙なことで、学生のときは放射線にかかわるとは思ってなかったけれど、微生物(キノコを含む)を学んできたことに、また出合った思いです」。

放射線は「せっかくのソースなので、正しく安全に利用することの理解を広げたい」という思いで、学外での放射線教育教材の提供も行い、実際の計測データに基づく調査・資料をもとに公開講座を開くなどしている。

[取材:2016年12月]

1974年、大阪府生まれ。

修士(バイオサイエンス)。大阪府立泉陽高等学校卒。98年、鳥取大学農学部農林総合学科卒。奈良先端科学技術大学院大学・バイオサイエンス研究科(博士後期課程)を経て2002年より現職。

高校生のころは「獣医師になりたかった」という。わかりにくいことが増える中で確かなことが大切になってくることを研究の中で知った。「知らないことに興味もつことを伝えたい」。

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