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トリダイ プロフェッサー谷口 晋一

  • 医学部医学科

教授

谷口 晋一

Shin-ichi Taniguchi

地域にあること。
一人ひとりのプライマリ・ケア
のために必要なこと。

社会と結び合う医療のあり方を考える。

医療の現場には「専門医」がいる。そんな中で「プライマリ・ケア」のあり方と、そのための医学教育を一方で発展させたいという思いが谷口晋一 教授には強くある。医学部に2010年に立ち上がった「地域医療学講座」を開設当初からリードしてきた。

内科学、とくに内分泌の中でも甲状腺を専門としてきた。が、あるとき中山間地の公立診療所の協力を得て糖尿病などの生活習慣病に関する調査をした。「そのときに患者さんが生活する場のそばでアドバイスできるプライマリ・ケア医の必要性を強く感じた」という。

「足腰が痛む」「風邪ぎみ」「なんだか調子が悪い」など、医療機関をたずねてくる外来患者は多様だ。「日本では開業医(かかりつけ医)が専門医でありつつ、ジェネラル(総合診療)も引き受けている現状があります。高齢社会にあって、多くの高齢者には複数の疾患があり、さらにその後、介護や看取りがひかえている。これからの医師には、地域社会を意識した、質の高いプライマリ・ケアの考え方が求められますね」。

地域医療学講座は「社会と結び合う」実践的な医療教育のプログラム構築を、さまざまな施設や行政と連携して発想・発案し、発信しようとしている。

“日本流家庭医”の養成プログラムを提供。

あまり聞きなれない「家庭医」の存在がある。家庭医とは、何だろう? 教授は、欧米型の家庭医のあり方とか、その社会的な位置づけ、医師養成の仕組みについて先進的な英国の実情を視察・研修したときに「衝撃を受けた」という。その経緯から講座ではケンブリッジ大学、オクスフォード大学のGP(家庭医)を鳥取に招聘して学生向けの講演会やワークショップも開いてきた。

医療・保健・福祉制度は各国の文化・歴史の背景もあって一律的には語れないものの、互いに学べることが多い。

2014年、中山間地の拠点病院の協力を得て同院にサテライト拠点「鳥取大学地域医療総合教育研修センター」を開設。ここではプライマリ・ケア、在宅医療、地域包括ケアなど、現場でのさまざまな実習プログラムを組んでいる。

「教育環境を、さらに地域の現場にある他施設とも連携して広げたい」と教授。講座は一つのプロモーションビデオを制作した。そこには「先生の専門は何ですか?」と問われたとき「それは、あなたです」と応える先生の姿があった。

[取材:2016年11月]

1960年、鳥取県生まれ。

医学博士。鳥取県立鳥取西高等学校卒。85年、鳥取大学医学部医学科卒後、同年、同大医学部第一内科(現・病態情報内科学)所属。熊本大学医学部助手、NIH(米国・国立衛生研究所)留学などを経て2010年より現職。

「医師は人を相手にする仕事。人間をより深く知るために、医学以外にも文芸・歴史など広い教養を身につけてほしい」。

地域医療を基礎から臨床まで体系的に学べる医学教育に取り組む。

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