鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー山田 七子

  • 附属病院卒後臨床研修センター

教授

山田 七子

Nanako Yamada

診療とはどうあるべきか、
常に己に問いかけながら
高い理想を目指してほしい。

臨床医として一人前になるために。

人命を預かる医師への道のりは、長く険しい。医師免許取得はゴールではなく、むしろスタートラインだ。臨床医を目指す者はそこから、2年以上の初期臨床研修を受けることが医師法で義務付けられている。ここ鳥取大学医学部附属病院卒後臨床研修センターは、鳥取県を代表する臨床研修指定病院であり、豊富で自由度の高いプログラムを展開し研修医の育成に力を注いでいる。

副センター長の山田七子 准教授は、厚生労働省の新医師臨床研修制度の指針に基づいた研修が無事修了できるよう、初期臨床研修全体を管理監督し、サポートする役割を担っている。研修医は、医師に必要な基本的な診療能力を身につけるために内科や救急医療、地域医療など「必修」とされる研修科目をはじめ、将来進みたい診療科を含む様々な診療科で専門性の高い指導医に指導をうけ研修実績を積んでいくのだが、准教授は、その中で彼らに強く望むことがある。「社会常識やマナーを身につけてほしい」ということだ。「診療知識・技術の習得は当然ですが、時間や約束を守る、礼儀を忘れない、身勝手な振る舞いは慎むなど、社会人としての在り方は、『医師』であればなおさら多くの人に見られ評価されているのだということを自覚して欲しいと思っています。確かに医師の仕事は責任が重く、昼夜を問わず多忙であるのですが、それは免罪符にはなりませんから」。研修責任者として、人生の先輩として、知識や技術を身につけるのと同じくらい大切であると後輩たちへメッセージを送る。

正しい診断と、気持ちを通わせた治療と。

皮膚病態学の研究者としての顔も持つ。皮膚真菌症をテーマに、電子顕微鏡で細胞内や細胞間の微細構造を観察し、疾患の真理に迫る。皮膚真菌症には様々な種類があるが、よく知られているのは足白癬(水虫)やカンジタ症などだ。「日常の診療で使用する光学顕微鏡でも診断できますが、電子顕微鏡は、細胞の変化をさらに拡大し、その原因となっている変化まで突きとめることができます。難しさもありますが、面白いですね」と語る。穏やかで丁寧な口調から、この分野を20年以上コツコツと究めてきた実直さが伝わってくる。

大学のカンファレンスや学会を通じて診断や治療について徹底した指導や助言を得られることも医師を続ける上での心強い支えとなっている。

誠実な対応は患者に対しても同じだ。「例えば、皮脂欠乏が原因で症状を繰り返すような湿疹では即効性のある強い薬も必要ですが、保湿剤などのようにたとえ効き目は弱くとも繰り返し日常的なケアに気を配ったりするのも大事です。それが予防や再発防止につながるから。患者さんとそんな話をしながら一緒に治療に向かい、『だんだん良くなってきたね』と喜びを共有する。そういう過程が好きなんですよ」と微笑む。“信頼できる医師”に出会えた気がした。

[取材:2016年12月]

1967年、鳥取県生まれ。

博士(医学)。鳥取県立鳥取西高等学校卒、鳥取大学医学部医学科卒業。98年、同大大学院医学系研究科博士課程修了後、同大医学部助手(皮膚科)。松江赤十字病院皮膚科医師、米国ボストン大学医学部Research Fellowを経て、2001年再び鳥取大学医学部(皮膚病態学)へ。12年、同大医学部附属病院ワークライフバランス支援センター副センター長・准教授。13年より現職。

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