トリダイ プロフェッサー関 耕二
- 地域学部地域学科
- 人間形成コース
准教授
関 耕二
Koji Seki
スポーツと私たちの関係から、
教育や地域社会を考えてみたい。
保健体育の先生? のようで、アスリートのようで・・・。
研究室に行くとランニングシューズやトレーニングウェアが、なにげにポロリと置いてある。関耕二 准教授は、時間を見つけては1日に1時間くらいはランニングしているという。走る先生。医学博士でありながら教育学の専門家、大学の陸上部の顧問でもある、という、いろいろな顔をもつ。ちょっと複雑だね。
教員の資格を得るためのコースなのだろうか? と思うことがある。たしかに、それもあるけれど、それだけじゃない。“地域”というコンセプトが加わっているところに、このコースの特質を考える。「卒業に必要だからとか、必修だからと授業を受けてもらうだけではなくて、教える専門性にどれだけ触れてもらえるか」と学生に伝えたいソースはいっぱいある。
中・高校生のときから陸上競技に熱中。「部活動(体育系)の指導をしたかった」と思っていたほど、スポーツから児童・生徒にアプローチしていくことを夢見て大学に進学。しかし、在学中に市民マラソンの大会への参加やランニング講習会を通じて、競技力向上だけではないスポーツにも魅力を感じて、大学院に進学した。
研究テーマは①スポーツによる地域活性化。②子どもの体力課題。③ランニングやウォーキングの効果的な実践方法など。フィールドワークを通じた実証的な研究から、意外に知られていない身近なスポーツや身体活動について健康と教育の側面を照らし出す。
生活の一部にあるスポーツを、多面的に見てみよう。
「スポーツによる地域活性化」というと、サッカーJリーグのようなプロ・イベントは別として、気軽に市民参加できるものとしては、やはり各地で行われている市民マラソンの大会が挙げられる。それらのマラソンコースでは、地域の景観や大会ボランティア、地域の食べ物などさまざまな付帯要素が参加ランナーの満足度に関係している。大自然の中でウォーキングを楽しむ“ヘルスツーリズム”で過疎地の地域活性化につなげようという活動もある。
「子どものころは持久走が嫌いだったのに、大人になるとお金を払ってまで東京マラソンとか各地の大会に参加し、その準備のためにスポーツジムに通っていたりする人がいますよね」。持久走が嫌いな子どもたちの体力的な特徴とか生活習慣を調べることも研究テーマにあるが「体育=スポーツというのは(子どもから大人までを通じて)本当に興味深い私たちの生活の一部なんですよ」。ランニングするにしても、森の中を走る、陸上競技場で走る、鳥取砂丘で走ってみるなど、いろいろシチュエーションを変えてみる。そこで心理的、生理的なストレス度がどのように変わってくるのかを医科学的に内分泌系のホルモン代謝から分析すると、データから読み取れる傾向にも気づくという。
「学生には、大山(だいせん=中国地方最高峰の山)に登るとか、地域のスポーツイベントに参加しましょうと勧めていますが、フィールドワーク(現場体験)を大切にして学びに活かしてほしいですね」。
[取材:2015年11月]
1977年、新潟県生まれ。
博士(医学)。新潟県立六日町高等学校卒。2000年、群馬大学教育学部(保健体育専攻)を卒業後、同大大学院教育学研究科(修士課程)、医学系研究科(博士課程)修了。
ランニングのトレーニング効果に関する研究活動だけではなく、ランニングイベントや教員免許更新講習などの教育活動も鳥取砂丘を舞台に行っている。
「大学は入学してからが勝負。人間関係を大切にして本気で学ぶことで人生が変わると思う」。