鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー山下 博樹

  • 地域学部地域学科
  • 地域創造コース

教授

山下 博樹

Hiroki Yamashita

母なる地理学によって
日本の都市を再生する。

地理学の視点で地域に貢献する。

「それぞれの地域と、そこで暮らす人間のあらゆる活動の特色や課題を自らの目と足で明らかにするのが地理学です」と語る山下博樹 教授。

つまり広く言えば、人間の活動に関連する多くの他の学問と結びつく学問分野。研究対象はとにかく幅広く、農業地理、工業地理、文化地理、自然地理、歴史地理などに細分化される。そのため「地理学と哲学は諸科学の母」と言われることがあり、現在の様々な科学はこの2つの学問から分化したとも考えられている。日本では目立たないが、欧米では地理学部を持つ大学も少なくないメジャーな学問分野なのである。

教授が専門とするのは都市再生論。その研究テーマから、県内で取り組まれているまちづくりの委員を務めることも多く、鳥取駅北口の整備、中心市街地活性化、犯罪のないまちづくりなど、その守備範囲は広い。

また、これまで海外の先進地域であるカナダ、アメリカ、オーストラリア、イギリス、フランスなどで多くの都市を研究してきた。例えば、カナダのバンクーバーは英誌エコノミストの調査部門がまとめる「世界でもっとも住みやすい都市」ランキングで毎年上位を飾っているが、それは50年におよぶ計画的な都市づくりの積み重ねの成果であり、今も進化し続けている。調査研究に裏付けられた深い洞察から「日本のまちづくりは目の前の問題を解決することに熱心ですが、問題の根本的な解決のための長期的な計画や戦略を立てるのは下手ですね」と評する。

また「日本学術会議」の連携会員として、国内外に地理学の立場から様々な提言を行っている。日本学術会議とは内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立された機関だ。現在は、全国で急速に増えつつある地域系の学部・学科の可能性や今後の展望について、地理学の立場から貢献しようとしている。

鳥取県を日本一、住みやすく。

地理学の地域調査で信条としているのは、まず自分の足で丹念に歩き回ること。現地を実際に目で見て、その風景や雰囲気を肌で感じることから本質的な特徴や課題を知ることができると学生には教える。どの街にも個性があり、同じ課題を抱えた街でも同じ対策で解決できるとは限りません。ワクワクしながら街の隅々まで歩き回って理解を深めたとき、本当の課題を探りあてることができます。地理学以外の先生方と協働して、個々の地域の課題に取り組めるのも地域学の醍醐味です」。

実は、地理学に本当に興味を持ったのは大学入学後のこと。高校ではソフトテニス部で汗を流した。三度の飯より部活が好きで、教師になればこのままソフトテニスが続けられると考えて教論になる決心をした。大学院修了後、中学・高校の教壇に立って地理を教える一方、大学で興味を深めた地理学の研究も継続し、その実績が認められ鳥取大学へ。現在担当している産業立地論や都市再生論の講義は、教諭だった経験を活かした丁寧な板書が学生たちに好評だ。「将来も役立つコミュニケーション力、プレゼンテーション力を養ってほしい」と、学生が社会人として旅立つための教育指導も大切にしている。全国で最も人口が少ないことを逆手にとって、鳥取県を日本一住みやすくすることが目標。世界を知るスーパーティーチャーの挑戦は続く。

[取材:2015年2月]

1964年、東京都生まれ。

東京都立日野高等学校卒。90年、立命館大学大学院文学研究科博士前期課程地理学専攻修了。聖パウロ学園光泉中学・高等学校、立命館中学校・高等学校の教論を経て、99年に鳥取大学教育地域科学部(地域学部の前身)講師に着任。14年より現職。

立命館大学、筑波大学などの非常勤講師も務めた。日本地理学会、日本都市学会、日本地域政策学会などに所属。

趣味は読書(特に歴史小説)、旅行。料理、修繕などの家事も得意とする。

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