鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー竹川 俊夫

  • 地域学部地域学科
  • 地域創造コース

准教授

竹川 俊夫

Toshio Takekawa

住民主体の福祉社会の形成を
陰で支えるエキスパート

急速な社会変化を見据えた地域の福祉システムづくりに生涯をかける

鳥取大学は、鳥取県を中心に各地の地域づくりに貢献している。その使命を正面から担うのが地域学部であり、中でも福祉を通じた地域づくりを専門とするのが竹川俊夫 准教授だ。これまでに大阪府阪南市、奈良市、京都市中京区などの福祉計画の策定に携わった、いわば“福祉のまちづくりのエキスパート”である。

これまで鳥取県内の米子市、倉吉市、八頭町の地域福祉(活動)計画の策定アドバイザーとして活躍。現在も毎月のように講演会やセミナーに招かれるという多忙な日々を過ごしている。

「福祉」は大きく3つの枠に分けられる。第一が年金や医療など国全体を対象とする「社会保障」。第二は自治体の「地域福祉政策」で、国と協働しながら市町村が担っている。さらに第三として「地域福祉活動」が挙げられる。これは、住民が主体となって実践する福祉で、独居高齢者の見守り活動などがその例だ。誰もが参加できるボランティア活動なのだが、住民が自分たちだけで組織や活動をコーディネートするのは容易ではない。そのため活動を機能させるために市町村行政にも一定の支援が求められるが、一般的に行政と住民の間には距離があるため、効果的な支援ができない場合が多い。

そこで准教授のような専門家が住民と行政との間に立ち、地域の様々な住民団体のネットワークづくりを進めるとともに、住民団体と行政との協力・協働の構築を支援することで、地域の福祉力を総合的に高めていく。竹川ゼミでは、学生たちもこのような福祉のまちづくりの取り組みに積極的に参加することが期待される。ヒアリング調査などのフィールドワークによって、高齢者などからリアルな声を聞いて社会の矛盾に直面すると、考える力とディスカッション力が深まるからだ。

民間企業での経験をバネに福祉を自ら猛勉強

准教授は4歳の時に、自分を大事にしてくれた祖父が他界。その恩を祖父に代えて、社会のすべての高齢者に返したいと思ったのが福祉を志した原点。大学を卒業後はその思いを持って生命保険会社へ入社したが、そこで国民が社会保障のことをよく理解できないまま、法制度の改革だけが進んでいる現実に直面した。国民不在で制度改革が進んでゆくと痛感するなか、阪神淡路大震災が発生。自分たちの暮らしは、まずもって自分たち自身で守るという住民自治の意識に支えられた福祉の必要性を確信し、独学で福祉の勉強を始めて大学院へと進んだ。「究極の福祉は、病院ではなく住みなれた町で最期まで暮らせるまちづくり。自宅などの見慣れた風景の中で、親しい人達に看取られる社会をつくりたい」と熱く語る。

理想の福祉社会の形成を目指して、現在は鳥取市南部の用瀬町を舞台に住民や行政、福祉の専門家とともに福祉のまちづくりを進行中だ。「地域学部は、まちづくりのキーパーソン育成が使命です。竹川ゼミでは一人でも多くの学生が“福祉のまちづくりのキーパーソン”となれるよう、持てるノウハウを積極的に伝授していきたい」。

鳥取県で実習を積み重ねた精鋭たちが全国へ飛び立ち、福祉のまちづくりを展開して日本を変える未来が待っているかもしれない。

[取材:2014年2月]

1967年京都府生まれ。

京都府立北嵯峨高等学校卒業、91年、早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業後、第一生命保険相互会社に入社。

07年、同志社大学・大学院文学研究科社会福祉学専攻博士課程修了。福井県立大学、帝塚山学院大学の非常勤講師を経て、08年に鳥取大学に赴任。

専門は地域福祉論、社会福祉政策論。主著『住民主体の地域福祉論—理論と実践—』(共著)など。

鳥取大学入試一覧