鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー中原 計

  • 地域学部地域学科
  • 国際地域文化コース

准教授

中原 計

Kei Nakahara

環境考古学を「木」の調査から切り拓き、
時空を超えた壮大なスケールで未来を視る。

原始・古代の木製品から考察する希有な考古学者。

「環境考古学」という言葉を聞いたことがあるだろうか。過去の人類の文明に環境がどのような影響を与えたのか再現を試みる、まさにスケールの大きな学問だ。ヨーロッパでは古くから研究されている考古学の一分野だが、日本では最近注目されるようになったばかり。カリキュラムに入れている大学も少なく、専門的に学べる教育機関はほとんどない。

環境考古学の研究者も少ない状況で、中原計 准教授は若手のホープとして期待されている。環境考古学は動物学、植物学、昆虫学などの各分野の研究者たちと共同で遺跡の調査に取り組む。准教授が専門とするのは木材と植物の種だ。「木や種から生活の舞台となった森の様子が解ります。とくに遺跡から出土した木製品は、当時の自然環境を調べる絶好の研究素材です。古代人たちは木を見上げ、どんな気持ちで暮らしていたのか興味は尽きません」。

遺跡から出土した木製品やそれらに使用されている木の種類の変化などによって、森林の伐採による環境の変遷を考察できる。また、周辺に森林のない地域から木製品が出土すれば、ほかの地域との交流があったことも考えられる。悠久の時を超えて蘇った、たった一つの木片が雄弁に語りかけてくるのだ。

山陰は遺跡の宝庫といわれ、国内最大級の弥生時代の集落跡「妻木晩田遺跡」は国史跡に指定されている。鳥取市の「青谷上寺地遺跡」からは、約二千年前の弥生人の脳が残っている頭蓋骨が出土して全国を驚かせた。「青谷の遺跡はラグーン(入江)のほとりにあったので特殊な地下の環境が保たれ、木製品も多量に見つかっています。その保存状態は大変良い。山陰には、そのような遺跡が多く、発掘されれば、もっと遺物が出土するでしょう」。若き考古学者にとって、鳥取は研究心を高める魅力的な場所なのだ。

将来を予測し、未来を明るくするための環境考古学。

「古代、森の環境は暮らしに大きな影響を与えていました。縄文時代の人たちは森の中に住み、まさに森と一緒に生活していました。それが弥生時代になり稲作が伝わると、低地に田んぼをつくるようになった。森の中から出ていく時代になり、人間の環境に対する考え方が改編された時代ともいわれています。その頃どんな木製品がつくられるようになり、流通していったのか。それも研究テーマの一つです」。

森林を開拓しても、縄文時代から鎌倉時代の頃までは木の再生力が伐採を上回っていたとされる。その後、どのように現代に至ったのか。考古学は遺跡から出土した遺物を分類するだけでなく、最終的な目的は希望のある未来を提言することだ。過去を知り、今日と照らし合わせ、未来を予測する。地球の温暖化や砂漠化など、複雑な問題を抱えている現代こそ環境考古学が担う役割は大きい。「地域ごとの違いなど、縄文時代から江戸時代にかけてのデータを地道に積み重ね、人と森のつきあい方や木の使い方を探求したい」。これまで定説とされている史実を覆す、新しい発見があるかもしれない。

[取材:2013年2月]

1976年大阪府生まれ。

博士(文学)。大阪府立大手前高等学校卒、大阪大学文学部人文学科卒。京都大学大学院人間・環境学研究科修士課程修了。大阪大学大学院文学研究科博士後期課程修了。徳島大学埋蔵文化財調査室を経て、2010年より鳥取大学地域学部地域環境学科に赴任。

考古学の中でも環境考古学の分野を専門とし、木材利用史や人と自然環境の相互関係史などを研究テーマとする。

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