鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー渡邉 正人

  • 地域学部地域学科
  • 人間形成コース

講師

渡邉 正人

Masato Watanabe

現場で培った経験から
小さな変化を見つける目と
当事者理解の大切さを伝える。

色やコントラストで変わる見えやすさ。

障がい児教育の現場では、それぞれの見え方や聞こえ方に合わせた教育や支援を提供していくことが重要となる。しかし、その子がどう見えているのかを正確に把握することは難しい。渡邉正人 講師は、長年、特別支援学校の教員として培った経験と、基礎的なデータ収集により検証・選定された弱視児向けの視機能評価方法などを用いて、障がいのある子どもたちに対する実践的な教育や支援法とともに、当事者理解の大切さを伝える。

見え方の研究では、文字や背景の色、コントラストをさまざまな条件下で課題達成までの時間を計測し、数値化して比較する。そうした研究から得られた結果は、子どもたちの視機能評価方法の指標の基準となるだけでなく、教科書の選定や教材・教師向けプログラムの開発、また、ルーペや単眼鏡、拡大読書器など見えやすくなるためのツールの選定などに役立っている。

一人ひとりに寄り添える人材を育てる。

1990年から2021年まで千葉県の特別支援学校の教員として31年間勤めた。「特別支援教育の魅力は、一人ひとりと深く付き合えること」とほほ笑む。表情や呼吸の様子、抱っこした時の身体の硬さなどの小さな変化から、その日のその子の体調や気持ちが分かるようになるという。「大切なのは、その子が感じていることをこちらも感じること」と、学生たちにはさまざまな視覚障がいを体験できるゴーグルなどを使って、実際にどのように見えているのかを経験させる。「当事者理解を深めることで、子どもたちの行動の意味性を発達的な視点からとらえられるようになる」と話す。

リハビリテーション修士の他、身体面だけでなく心理面の認知発達も重要と、臨床発達心理士、公認心理士の資格も持ち、臨床発達心理士のスーパーバイザーとして後進の育成にも力を入れる。鳥取県内の施設や学校を巡り、授業内容のサポートなども行う。時には学生と一緒に訪れ、子どもたちの様子を直接見てもらうことも。「一人ひとりへの寄り添い方を知ることは、特別支援教育だけでなく、どの教育現場や職場でもとても大切なこと。障がいだけでなく、性のあり方、経済状況など多様な人々の気持ちを当事者のように理解し、寄り添える人材を育てていきたい」と語る。

[取材:2022年10月]

1967年、新潟県生まれ。

修士(リハビリテーション)。淑徳大学社会福祉学部社会福祉学科卒業、筑波大学大学院教育研究科修士課程カウンセリング専攻修了。千葉県立松戸養護学校や千葉県立千葉盲学校などでの教諭を経て現職。

大学時代の恩師との出会いから障がい児教育の道へ進んだことから、「学生たちにもそういう出会いを体験してもらいたい」と、自身の部屋を広く開放する。休日は、大山や氷ノ山をトレッキングして過ごす。

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