鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー黒田 保

  • 工学部社会システム土木系学科

教授

黒田 保

Tamotsu Kuroda

コンクリート構造物の
維持管理の効率化を図り
人々の安全な生活を守る。

安全・安心に、より長く。

1960年代はじめ、東京オリンピックの開催へ向けた準備が急ピッチで行われる中、道路や鉄道などのインフラも次々に整備されていった。その時代、コンクリート構造物は半永久的に持つと考えられていた。しかし、しばらくしてその神話はもろくも崩れ去る。トンネル天井板崩落や橋梁の倒壊など、ひとたびコンクリートの破損が起これば、人命を奪うような大事故につながりかねない。黒田保 教授は、人々の生活の基盤となるインフラが安全・安心でより長持ちするよう、コンクリート構造物の劣化のメカニズム解明や適切な維持管理方法などの研究に邁進する。

コンクリート構造物を安全に長く使うためには、メンテナンスが重要となってくる。適切なメンテナンスには、その構造物がどういう状況なのかを定期的に把握する必要がある。国は、5年に1度は人が近づいて目で見て点検するようにと規定するが、海面から30m以上にかかる橋梁など、大規模な構造物は人が直接近づいて点検することは不可能に近い。そこで、カメラを搭載したロボットを配置し、撮影データを送信することで、人が点検したのと同じような効果が得られることを実証した。道路状況などを確認する管理者や日常的にその道路を使う地域住民からの情報を一元的に効率よく管理する「鳥取県版インフラ維持管理システム」の構築も進める。

コンクリートで固まる結束。

一見、どれも同じに見えるコンクリートの塊。しかし、「大学の講義で、いろいろな性質や性能を持ったコンクリートがあり、さらに必要な性能や品質を持ったコンクリートが開発されている」と知った学生時代の教授。研究室のみんなで協力して試験体を造る、コンクリートで強固になるチームワークにも魅了された。セメントメーカーの研究所にいた際は、固まる際に熱を発しにくくひび割れが発生しにくいコンクリートの開発に携わり、瀬戸内しまなみ海道の橋梁建設に使われている。

普段は当たり前過ぎて気付かない、コンクリート構造物のありがたさ。事故や災害で破損し、1本の道路が通れなくなるだけで、人々の生活は大打撃を受ける。学生たちには実際の点検の様子や工事現場への見学を通じて、自分たちが勉強する内容の重要性を理解してもらうよう心がけている。

[取材:2022年10月]

1968年、鳥取県生まれ。

博士(工学)。鳥取県立境高等学校、鳥取大学工学部海洋土木工学科卒業。同大学大学院工学研究科修士課程土木工学専攻修了。大阪セメント株式会社での勤務を経て鳥取大学へ。

幼い頃は釣りに親しみ、現在の趣味はジョギング。高校生へ「自分の可能性を信じてやりたいことにチャレンジしてほしい。そうすることで、自分の置かれる環境や物事の見え方は変わってくる」と語りかける。

鳥取大学入試一覧