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トリダイ プロフェッサー松永 忠雄

  • 工学部電気情報系学科

准教授

松永 忠雄

Tadao Matsunaga

低侵襲医療を支援できる
次世代医療デバイスの発展に向けて、
半導体微細加工技術を活かす。

医療に活かされている工学技術。

体へのダメージが少ない低侵襲医療には、検査や治療に使われるカテーテルや内視鏡などの医療デバイスの進歩が貢献している。そこには多くの工学技術が生かされているが、松永忠雄 准教授は医学部や臨床医との連携のもと、さまざまな医療デバイスのさらなる高機能、多機能化に向けた研究を行っている。

「体に挿入したり刺入する医療デバイスのほとんどはチューブ形状をしています。チューブは細いほど体へのダメージは少ないのですが、一方、医療デバイスに多くの処置機能をもたせようとすると、チューブ形状のデバイスに極小の配線や電子回路、センサーを組み込む技術が必要となります」。直径数ミリ以下の微細なチューブにさまざまな電子部品をどこまで装着できるのだろうか…。

そこで准教授が医療デバイスの研究・開発に導入している一つがMEMS(微小電気機械システム)技術。半導体のシリコン基板上に電子回路やセンサーなどの微細立体構造を一括で作製するマイクロマシン技術だ。

研究の背後にあるもの。

すでに携帯電話や自動車のセンサーなど多方面に活用されているMEMSは平面の基板上に構成されるが、准教授はこれをチューブなど非平面に施す微細加工に応用する試みを続けている。

「学部生のときは勉強に意味を見いだせなかったんですよ。で、アルバイト先のお店でお好み焼きをずっと焼いていました。そのなかでコミュニケーション能力を身につけることができたのはいい体験でした。」

学部卒後、自動車や新幹線車両のブレーキを製造する会社に就職。そこで自動車の安全装置・エアバッグ用の高速で反応する加速度センサー開発のため、社命で東北大学の研究室に出向。ここで医学と工学が連携した「医工学」の端緒に出合うことになる。

企業経験や、大学出向後に経験した医学と工学の異分野融合の研究経験から准教授は言う。「医療デバイスはヒトの命に関わることもある。そんな責任重大な研究に携われることに誇りを持ってます。役に立つ医療デバイス開発には、患者や医師がなぜそれを必要としてるのか? を深く理解し、臨床医と連携しながら研究開発し、評価するまでの全てを自身で体験し、マネジメントできる力が必要ですし、養ってほしい」と思っている。

[取材:2022年10月]

1972年、佐賀県生まれ。

博士(工学)。94年、佐賀大学理工学部電気工学科卒業後、ブレーキ製造・開発会社に就職。在職中、東北大学工学部機械電子工学科(江刺研究室)に研究員として出向。2002年、工学博士(東北大学)取得。その後、同大学大学院に医学と工学をつなぐ研究のため日本で初めて開設された「医工学研究科」の助教となる。19年より現職。

23年に鳥取大学に新設された「医工学プログラム」にも参加し、工学からの医療支援を考えている。

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