鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー西山 正志

  • 工学部電気情報系学科

准教授

西山 正志

Masashi Nishiyama

人とは何か?
人のように観察し認識できる
知能を創造する。

人はどこを見てどう判断しているか。

人は、相手のどこを見てどう判断し、どのように振る舞っているのか。たくさんの情報を瞬時に単純計算する能力は、人間よりもコンピューターの方が格段に優れている。しかし、ちょっとした目の動きやしぐさから人の感情や状態を読み取るのは、コンピューターにはまだ難しい。西山正志 准教授は画像認識の技術を用いて「人間のように観察し、人間を理解する知能を持つコンピューター」の開発を目指している。

画像認識とは、例えばコンピューターにたくさんの花を覚えさせておいて、一枚のある花の写真を見せた時に、すぐどの花かを判別できる機能のこと。防犯カメラなどで誰であるかを顔認識するセキュリティ対策や、人の動きに連動するプロジェクションマッピングなどに応用されているが、准教授は「それではまだ『人間のように』機能しているとはいえない」と首を振る。

長年連れ添ったパートナーのように。

コンピューターの知能が「人間のように」振る舞うためにはまず、観察する人がどのようなところに注目しているのか、観察される人はどのように動いているのかを知る必要がある。そこで、人の細かな特性を比較検証することで、人は顔周辺を見て相手の性別や年代を判断していることや、個人によって体の揺れに微妙な違いがあることなどを解明してきた。「計算機科学を研究していますが、人間のことを知りたいという欲求が根源にあります。だって、人間は複雑で面白いから」。人がどんな人に対してどんな印象を抱くのか、どんな状況でどんな動きをして、それを見た人はどう反応しているのか。膨大なデータを解析して、その結果をコンピューターに学習させていく。

「大学時代はプロジェクターでモノに影をつける、プロジェクションマッピングの走りのような研究をしていました。当時はそれがどんな風に世の中の人を楽しませるか想像できませんでしたが、今では人々の生活の様々な場面で見かけるようになりました。人物画像認識は地道な研究ですが、10年20年先には、『のどが渇いた』と思ったらそっとお茶を差し出してくれるような気が利く知能をもつロボットと普通に生活しているかもしれません」。ちょっと先の世界観を創造する。人物画像認識は、人間の世界をもっと豊かにしてくれる可能性を秘めている。

[取材:2021年10月]

1976年、静岡県浜松市生まれ。

香川県立丸亀高等学校、岡山大学工学部情報工学科卒。同大学大学院自然科学研究科博士前期課程修了後、株式会社東芝研究開発センターの研究員を務めながら東京大学大学院学際情報学府で博士(学際情報学)を取得。2015年に鳥取大学へ。

趣味はロールプレイングゲーム。「経験値を積み重ねてボスを倒す。コツコツと何かをして困難を突破することが好きなのかもしれません」と笑う。

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