鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー高田 健一

  • 地域学部地域学科
  • 国際地域文化コース

教授

高田 健一

Ken-ichi Takata

大学キャンパス内にある大隈段古墳にて。「5世紀か6世紀頃の諸説ある謎の古墳です。いつか本格的に調査したい」と高田教授。

点の情報を線につなげていく
探偵のような作業が
考古学の醍醐味です

人の生活の跡から砂丘の成り立ちを探る

鳥取砂丘の中に遺跡があるって知っていましたか?

砂丘の成り立ちは気候変動の周期とともにあるという。温暖化すると植物の生育にいい条件が整い草原化し、人々が暮らし、寒冷化すると砂丘の面積が広がり、人々は砂丘から離れていく。鎌倉時代や平安時代は温暖化の時代で、人々が普通に暮らして畑を作っており、それが遺跡となって砂丘の下に残っている、という話に興味が湧いてくる。

鳥取大学には砂丘の研究をしているさまざまな分野の先生がいる。科学的なアプローチから解明していく先生との共同研究も行いながら、高田教授が取り組んでいるのは「人の生活の跡からの調査」だ。

「例えば稲作が入ってきた弥生時代、出土した土器の焦げ跡から、何をどういう風に食べていたのかというところまでわかってきます。ひとつの手がかりから2000年前の人の生活の息づかいまで辿り着ける。そのワクワク感が考古学の醍醐味です」と語る。

いまの常識が常識ではない

大学に入ったときは考古学をするつもりはまったくなかった。考古学に“ハマる”きっかけとなったのは、大学2年のとき、同級生に誘われて古墳の発掘調査に参加したことから。「点の情報を線につなげて、どう合理的に解釈したら事実が復元できるかをずっとやっていく。それが探偵の作業みたいで、とても面白かった」と高田教授。

以来、考古学の視点からものごとを捉えるなかで、ひとつの気づきを得た。「いまの常識に当てはめると、まったく理解できないことだらけになります。私たちの遠い祖先ではあるけれど、まったく違う価値観をもった人として視野を広げていかないと、その時代の人たちと到底対話することができません。逆に言えば、いま私たちが常識だと思っていることが、100年後、200年後の人たちには、まったく理解できないことになっている。常に多様性の視点をもって取り組むことは、考古学に限らず、何にするにせよ大切なことです」とメッセージを送る。

[取材:2018年10月]

受験生へのメッセージ

大学に入ってこれをやろうと思っても、その道に進むとは限りません。私もそうですが、何がきっかけになるかわかりません。とにかく面白いと思えたものに食らいついていく。そのチャンスがどんな人にも目の前に落ちてくる瞬間があります。そのときに面倒くさがらずにやってみる、ということが大切だと思います。

1970年鳥取県生まれ。

鳥取東高等学校卒業。大阪大学文学部史学科卒業。同大学大学院文学研究科博士後期課程単位修得退学。

1999年鳥取県教育委員会事務局文化財主事。2005年鳥取大学地域学部地域環境学科講師、准教授を経て、2018年より現職。

趣味はマンガを読むこと、古本屋巡り。

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