鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー海藤 俊行

  • 医学部医学科

教授

海藤 俊行

Toshiyuki Kaido

人体を究め、
手話教育を推進、
素晴らしい医師を育成したい。

人体は個性的。

人体は精巧な機械とも言われるが、機械とは違い個性的である。指紋が一人ひとり違うように、臓器のかたち、血管・神経の走行など一人として同じではない。人体は遺伝情報に基づく精巧さに加えて、かたちが違っても機能的に問題なければ構わないという柔軟性を兼ね備えている。例えば、血管の枝分かれは個人差が大きく手術の際は配慮が必要だ。海藤俊行 教授は臨床的に重要なかたちに注目して教育研究を進めていく。

「解剖学実習で学生を教えていると、思いがけない所見に遭遇します。臨床現場であれば、手術の成否にかかわるのです」。医学に貢献したいというご献体のご意思に思いを馳せると、「所見を学生に教えて臨床に役立てなさい」との声が聞こえるという。

解剖学講座では、「肉眼解剖学」のほかに、細胞・組織を光学顕微鏡や電子顕微鏡で詳細に観察する「顕微解剖学」や「超微形態」も専門としている。細胞のかたちやタンパク質の発現をミクロからナノ(百万分の1ミリ)レベルで解析して、役割を解明するのが目的である。教授は、これまで悪性腫瘍(がん)の新生血管や皮膚の感覚神経を研究対象としてきた。特に現在は、アトピー性皮膚炎に注目して難治性の痒み(かゆみ)に関係するタンパク質の発現を解き明かそうと試みている。

手話から学ぶコミュニケーション。

鳥取大学医学部では、コミュニケーション力を高める教育を重視している。その一環として導入しているのが「手話」教育だ。教授たちの活動により2008年度より「基礎手話」が医学科の必修科目となり、翌年から「医療手話」が選択科目に組み込まれている。

「病院は聴こえない方が最も不安を感じる所。医学生として聴こえない患者にどのような配慮が必要か理解してもらいたい。そのうえで聴こえない方の言語である“手話”のできる医師が育成されれば素晴らしい」と教授。学内の手話サークルの顧問を15年以上勤めているが「それ以前、手話は全くできませんでした。皆さんも新しい言語に挑戦してみませんか」と笑顔で話す。

学部教育支援室長も兼任。「学生が心身ともに健康で学修できるよう、様々な支援を行いたい。社会に貢献できる素晴らしい医師になってほしい」と願っている。

[取材:2017年10月]

1960年、神奈川県横浜市生まれ。

博士(医学)。神奈川県立光陵高等学校、愛媛大学医学部医学科卒後、同大学大学院医学研究科博士課程修了。日本学術振興会特別研究員、米国ケースウエスタンリザーブ大学病理学研究所などを経て97年、鳥取大学へ。

大学生の時、アメリカン・フットボールに熱中し「勝利のために自分が倒れてもボールを進める“犠牲の精神”にふれた。社会で他者を活かすことと自分を活かすことは表裏一体」と含蓄深い。

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