鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー川井田 祥子

  • 地域学部地域学科
  • 国際地域文化コース

教授

川井田 祥子

Sachiko Kawaida

芸術文化を生かして、
誰もが生きやすい
やさしさのある社会に。

ありのままの自分を認める。

真の自立とはどういうことか。何でも自分でできるように、人に迷惑をかけないように、一生懸命に頑張ってきたけれど、なんだかとても息苦しい。「私、このままではきっと壊れてしまう」―。ひたむきに努力し、責任ある仕事を任されてやりがいを感じていた20代の頃、ボランティアで障がいのある人たちと交流し、彼や彼女たちの「自分のできることはここまで。あとは誰かの助けを借りる」というありのままの自分を認める姿に「自立とは何か」を考えるようになる。その後、大阪市の地域ネットワーク型寺院で芸術文化関係のイベントを手掛けるディレクターとなり、文化経済学者の佐々木雅幸氏が提唱する「創造都市論」と出合う。

創造都市とは、障がいの有無に関わらず誰もが創造的に暮らせる都市のこと。佐々木氏は、自分のやりたいことを仕事にして身を立てる「オペラ(創造的仕事)」という考え方を提唱する。「私も、そういう働き方を見つけたい」。ディレクターの仕事を辞めて佐々木氏のアシスタントとなり、研究者の道へと歩み始める。これが、川井田祥子 教授の軌跡だ。

怖がらずに出会いを楽しんで。

現在の研究内容は、障がいのある人がさまざまな表現活動を通じて自らの価値を発見し、自己肯定感をはぐくむ取り組みや、鳥取のような過疎や少子高齢化などの課題を抱える地方都市を、芸術文化の魅力を生かして地域を再生させる―など。佐々木氏のアシスタント時代に培った全国の創造都市を目指す自治体とのつながりから、学生の調査対象地は全国に及ぶ。「私自身、思いがけない出会いから研究者となった。現場で直接話を聞いたことが、その人の生き方に大きな変化をもたらす体験となることがある。本や文献を読むだけでなく、どんどん外に出て刺激や影響を受けてほしい」と願う。

「現代の日本は、一度の失敗も許されないような閉塞感が漂い、生きづらさを抱えている人が増えているような気がします。失敗してもまたチャレンジできたり、疲れたら少し休んでまた活躍できたりする、寛容さややさしさのある社会になってほしい。そんな社会を実現させる可能性を創造都市は持っています。誰もが自分らしく生きやすい世界に。小さくても地域レベルで取り組んでいけたら」と目を輝かせた。

[取材:2020年10月]

大阪府生まれ。

博士(創造都市)。大阪府立清水谷高等学校卒後、情報処理の専門学校に進み、IT業界でプログラマー、システム・エンジニアとして働く。大阪市の地域ネットワーク型寺院のディレクターから佐々木雅幸氏のアシスタントとなり、大阪市立大学大学院創造都市研究科博士課程修了。同志社大学創造経済研究センター特別研究員を経て、2017年に鳥取大学へ。

銭湯巡りが趣味で、鳥取では温泉を巡っている。

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