鳥取大学 入学試験情報

トリダイ プロフェッサー五島 朋子

  • 地域学部地域学科
  • 国際地域文化コース

教授

五島 朋子

Tomoko Goto

「ここにあるもの」を大切に
地方都市ならではの
芸術文化活動を育てたい。

地域社会にアートをうまく手渡していく。

2006年、鳥取市鹿野町を拠点に多彩な演劇活動を繰り広げる「鳥の劇場」が起ち上がった。「アートマネジメント」を専門分野とする五島朋子 教授は、当初からその活動に賛同、公開講座やワークショップ、演劇・舞踊等の作品づくり、演出家や俳優による演劇の授業、鳥の劇場へのインターンシップなど、様々な事業を共同して行ってきた。「鳥取県のような地方都市は、“創造性がない”と思われている。しかし、芸術文化活動は大都市圏だけのものではありません。表現したい、創りたいという気持ちと、それを発揮できる場があれば、ここにしかない芸術を生み出すことができるはず」と熱く語る。

そもそも「アートマネジメント」とは何か。1990年代からいわれるようになった比較的新しい概念で、簡単に言えば、芸術文化と社会とを結び付ける活動や考え方のこと。展覧会・公演演等の企画運営はもちろん、優れた作品を継続的に生み出すことのできる環境整備、地域住民が気軽に芸術を体験できる仕組みづくりなど、アートの力を活用して豊かな社会の創出を支援していくというものだ。

ゆえに、現場での実践ありき。「芸術文化活動の現場で起こっていることを理論化し、ほかの地域でも応用可能なことを抽出していく分野だから、実践なしには成り立たない。私自身、デスクワークのみでは耐えられないし」と笑う。

日常の営みを記録し、発信するという試み。

幼い頃から芸術に関心があった。絵を描くのが好きで、中学・高校は美術部に所属。映画少女でもあり、年間100本以上見るほどだったという。父の出張に同行して上京した際には、演劇を見てその面白さに目覚めた。

新しい取り組みとして、現在「地域の記憶を記録するメディアプロジェクト」を進めている。「地域の大きな出来事は歴史書に残るけど、普通に生きている私たちの日常は何の記録にも残らない。でも市町村の歴史って、普通の営みが折り重なることでできていくもののはず」と、学生や地域住民とともに聞き取り調査を行っている真っ最中だ。学生には、インタビューの進め方やまとめ方、表現・発信方法などに自分のクリエイティビティを生かしてほしいと望む。「これも一つのアートマネジメント。今持っている力で気軽に、できることから始めればいい」と、自身も学生と肩を並べて楽しんでいる。

[取材:2017年9月]

長崎県生まれ。

工学修士。長崎県立諫早高等学校卒、九州大学工学部建築学科卒。自治体の建築技術職員を10年間勤めた後、九州芸術工科大学(現九州大学)大学院芸術工学研究科博士後期課程へ進学、芸術文化によるまちづくりなどを学ぶ。在学中より北九州市を拠点とする劇団「うずめ劇場」の制作を担当。2005年鳥取大学へ。15年同大地域学部附属芸術文化センター教授。

お茶を嗜み、毎週のお稽古には着物で出かける。

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