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トリダイ プロフェッサー谷本 圭志

  • 工学部社会システム土木系学科

教授

谷本 圭志

Keishi Tanimoto

社会の変化に適応した
新しい生活サービスの
仕組みを考えたい。

当たり前のことの背景を見てみよう。

「普段の生活で、当たり前にあることが当たり前だと思わず、その成り立ちにちょっと目を向けて自分で考えてみてほしい」と谷本圭志 教授は言う。

例えば、私たちは道路や鉄道を通学や通勤、買い物などで何気なく利用している。けれども、そもそもその道路や鉄道はなぜ、そこにつくられたのかということは、あまり深く考えない。社会システム工学では、そのような一見、当たり前で気にもとめないことにも裏付けや計画があり、その考え方に触れることができる。

都市・地域計画を専門としているが、社会システム工学は「“モノづくり”ではなく、生活に必要な“コト(事)づくり”、“仕組みづくり”をしています。地域のための経営学と言ってもよいかもしれませんね」。

人口減少や高齢化、過疎といった課題が色濃い鳥取のような地方都市ほど、将来の日本の問題を先取りして学べる環境があるのではないかとも思っている。

学問を、生活との橋渡しとして位置づける。

研究テーマは多様で、地方自治体などとの共同研究もあるが、その一つに路線バスやタクシーなどの公共交通システムのあり方がある。公共交通は地域住民の重要な交通手段ではあるものの、マイカー時代を迎え、地方では人口減少で利用客が少なくなり採算性が低い。そこで路線バスを自動運転にしたり、タクシーを貨客混載にするなどの新たな仕組みを導入した場合のコストパフォーマンスや利便性などを、さまざまな角度から数理的に分析する研究を行っている。

また移動販売にも注目。車で食料品や生活雑貨を町や村々に運んで販売する、いわゆる行商の高度化や多角化を考えている。これは買い物の利便性の視点だけではなく、地域コミュニティの醸成や、高齢者の生活支援という視点からも興味深い研究テーマだ。

教授の父親は大手ゼネコンで北海道と本州を結ぶ青函トンネルの建設現場で所長をしていた。「小さい頃、その現場に連れて行ってもらったことがあります。都市計画や土木を研究したいと思ったのはその影響もありますね。身近な生活と学問を橋渡しすることを意識しています。住みやすいと思える町づくりを、いろいろな目線で一緒に考えていきましょう」。

[取材:2020年10月]

1971年、北海道札幌市生まれ。

北海道立札幌南高等学校卒。京都大学工学部交通土木工学科、同大大学院工学研究科交通土木工学専攻修士課程修了(1995年)。同年、株式会社三菱総合研究所・研究員。98年より鳥取大学工学部社会開発システム工学科助手などを経て現職。

ピアノでクラシックを弾き、学生時代はハードロック(ギター)を演奏する軽音楽部に所属していた。

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