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トリダイ プロフェッサー竹森 史暁

  • 工学部電気情報系学科

准教授

竹森 史暁

Fumiaki Takemori

人とロボットの協調。
そのための制御システムを、
手づくりのモデルで確かめる。

まるで製造工場のような実験室から。

「自分で部品を取り寄せてロボットを作り上げています」という竹森史暁 准教授。実験室に入ると、作業台の上に万力や電動ドリルなどの工作機具類が、さまざまに並べられ、さながら下町で見かける機械製造工場のようだ。しかし准教授の専門はロボットの組み立てではない。それはあくまでも過程で、その先にある専門のメカトロニクス、ロボット制御工学を追究している。

准教授が重視しているのは「人の動作と協調して動くロボット」の研究・開発だ。私たちの活動をサポートしてくれる機器やロボットは無数にあるが、とくに人の動作や周辺環境に照らし合わせて作動する制御システムをテーマとしている。そこで5年ほど前から取り組んでいるのが、利用者にとってより使いやすい電動車いすの研究。バリアフリー化が進んでいるとはいえ狭い場所での回転が困難だったり、歩道で他の歩行者と衝突しそうになったり、段差があると移動できないなど、車いすの利用時にサポートできるシステムは、もっとたくさんあるはずだと考えている。

数学的理論と実際のあいだの行き交い。

実験室には、いくつかのプロトタイプの車いすがある。補助輪を付けて段差を昇降できるものや、前方の介助者の動きに合わせて追従する車いすなどを手づくりで試作。カメラなどのセンサーを用いたセンシング装置を組み込んで利用者の操縦支援をするための具体的な制御プログラミングを試行していく。「理論を仮定して数学的なモデルをつくり、プログラミングしてシミュレーション・実験するわけですが、机上で考えていたものが機器の実動に合致しないケースが多い。その繰り返しの中から学んでいくことが大切なことだと思います」。

学生のころはメカ(機械)制御などの数学的理論ばかりを追って勉強していた。「でも理論が人とのかかわりの中で深く実際に生かされる制御工学とは何かを考えるようになった」という。自分の手でロボットを製作する准教授が「人とロボットの協調性」を強調する背景だ。最近では、農作業を支援するために果樹の収穫時での補助ロボットの研究を進めている。

「研究は、“失敗”から学ぶことが多い。そこで、なぜ?という驚きを感じたら、それを大切にして次に進んでほしい」と思っている。

[取材:2017年9月]

1967年、鳥取県生まれ。

博士(工学)。鳥取県立鳥取西高等学校卒。鳥取大学工学部生産機械工学科卒。同大学院工学研究科生産機械工学専攻修了ののち、工学部知能情報工学科助教授などを経て現職。制御工学が専門で、数値理論と実際の人の動きをビジュアルセンサーでモデル化して「人と協調して動く」ロボット制御のパラダイムやアルゴリズムを模索している。

趣味は野球観戦と映画鑑賞。

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