□農業で国際協力したい！と文系からＡＯで挑戦

中学２年生の時、ＦＩＦＡワールドカップ南アフリカ大会で、試合開始前に選手を先導して国旗を持って入場する「フラッグベアラー」に選ばれました。初めての海外旅行で、サッカー以外にも南アフリカの自然を体験したり、世界各国の同年代の子たちと交流する機会を作ってもらいましたが、中学時代は英語が苦手で、自分のことを説明したくてもできないもどかしさに、「英語が話せるようになりたい」と、英語学習に重点を置いたコースのある高校に進学しました。

南アフリカに行った時に、もう一つ衝撃を受けたのが、広大な砂漠の景色。半乾燥地の地域なので、作物を植えてもなかなか育ちにくく、日本との環境の違いにとても驚きました。祖父が農業をしていた影響で農業にも興味があり、「将来は農業を通じて国際協力に従事したい」という思いが芽生えました。

でも、高校は英語を中心に勉強していて、理系科目を選択していないので一般入試で農学部を受験することはできません。外国語にプラスして専門的な知識を身に付けたいと思っていた高校３年生の６月、地元の愛媛県であった大学合同説明会に参加して、鳥大農学部にＡＯ入試という受験方法があることを知り、それなら僕も理系の学部にチャレンジできると思って、乾燥地の農業が具体的に学べる鳥大農学部の受験を決めました。

□過去・現在・未来を関連づけて分かりやすく

願書をまとめるのに苦労したのは、高校３年間でしてきたことを整理すること。こんなことがあったから今、自分はどんなことをしていて、そしてこれからどんなことをしたいと思っているのか。自分の人生を過去・現在・未来に分けて、一つの流れになるように心掛けました。分かりやすい文章にするために、先生に添削してもらいながら１０回ぐらい書き直してやっと提出しました。

あとは、クラスメイトに「僕ってどんな人だろう」と聞いて、外から見た自分の姿を再確認しました。意外と自分自身のことは分からなくて。中には「性格がどんどんオープンになってきたよね」と、３年間で僕がどんな風に変わってきたのかを教えてくれる友達もいて参考になりました。

たまたま隣のクラスで仲の良かった子が、僕より先にＡＯ入試で大学に合格していたので、その子からＡＯ入試がどんな感じなのか聞いたり、グループディスカッションでどう発言したらいいのかなどの具体的なアドバイスがもらえて、とても心強かったです。

担任の先生も支えてくださいましたが、理系の学部を志す生徒の指導は初めてということで、面接練習の時には理系の先生にもみてもらって、本番の選考に備えました。

□語学＋専門知識は自分の強い武器になる

実際の試験の時にも、願書をまとめる時と同様に過去・現在・未来を結び付けて、なぜ英語を話せるようになりたいと思ったのか、そして高校でどんなことをしてきたのか、文系から農学部を目指した理由、さらに専門性を身に付けてこれからやりたいと思っていることへと、動機と目標を効果的にアピールできたと思います。

入学後は、自分に不足していた理科系の基礎的な勉強を頑張りました。今は乾燥地を中心とした作物栽培を研究しています。特に、漢方薬の葛根湯などに入っているエフェドリンという成分の原料作物の麻黄（まおう）を国内で安定的に生産できないか検討していて、中国由来の作物なので、高校時代に第二外国語として選択していた中国語をまた学び直そうと思っています。

それから、大学の語学研修プログラムを利用して、台湾の大学へ語学研修にも行ってきました。レベルの高いプログラムで英語の実力アップにつながりました。その時に知り合った台湾の友達に中国語を教えてもらったりしています。

卒業後は、大学院に進学して専門性を高めたいと思っています。語学力と農業の知識を生かして、将来は国際機関などの一員として、世界で活躍したいです。

後輩たちへ贈る言葉

□学力では測れない能力を見るのがＡＯ入試

ＡＯ入試は、学力では測ることのできない能力、例えば、積極性や広い視野、行動力、コミュニケーション能力などをみることを目的の一つにしているので、しっかりと自分の持っているものを表現できれば、文系の高校からも理系の学部に入ることができると思います。

鳥大の入試は語学にも重点を置いているので、入学後に理科系の基礎的な勉強を頑張れば、むしろ語学力は自分の武器になると思います。

鳥取のお気に入り

□とにかく自然が豊か

とにかく自然が豊かなこと。最近、滝を見るのが好きで、滝を見に県内を巡っては、心癒やされています。自転車も好きで、三徳山の方までロードバイクで行きますよ。大山もこの間、初めて登りました。その日はちょうど初雪が降った日でしたが、山頂からのきれいな景色を楽しめました。